入試問題における過去問との付き合い方

この時期になると受験生のみなさんは一生懸命過去問と向き合っていることと思います。
そこで、過去問の使い方で思うことを述べます。

まず、大人になって資格試験を数多く受けられた保護者様から、過去問だけを繰り返し解くのが手っ取り早いというご意見を度々伺います。
確かに資格試験では効率がいいかもしれません。ですが、これは入試問題に関しては誤った学習法なのです。
なぜなら、資格試験は業務において重要なことが分かっているかどうかを確認する試験ですので、同じ問題が何度も出題されます。

一方で入試問題は、この問題ができないと中学に入ってから困るというものがなく、総合的な学力を問うものになっています。
言い換えると、「同じ問題だけを練習するのではなく、教科・単元のバランスよく全範囲学習できて、学校が出すレベルの問題を解ける理解度のある子になって欲しい。でなければ学校に入ってから勉強についていけず苦労しますよ。」という学校からのメッセージです。

ですので、算数でその場で頭を使って考える発展的な問題を出す中学校の数学は証明問題に力を入れますし、
長い計算問題を複数出す中学校では、定期テストの数学の問題で、ものすごい量の計算問題が出題されます。
(後者は女子校に多い印象です。)

また、全範囲学習することに関してですが、入試は出題範囲が広すぎるのです。
算数の平面図形だけでも、角度、円の面積、円の移動、点の移動、2つの図形の移動、三角形と四角形の面積、相似を使った問題…と数多くの種類があります。
過去問だけでは到底全範囲網羅しきれません。


であれば、なんのために過去問を解くのか?ということですが、
受験校の出題傾向を把握し、今の自分とのレベルの差を知り、対策するためです。

孫子の兵法に「敵を知り、己を知れば百戦危うからず」ということわざがあります。
志望校という相手(敵ではありませんから)を知り、自分の実力を知って対策をすれば合格できるのです。

算数であれば
・基本問題が多いのか or 応用問題が多いのか
・問題数はどのくらいか。全問解く前提に作られているのか or 解ける問題を選ぶ前提に作られているのか
・立体図形が毎年出題されるのか
・比を使って解く問題が多めであるか
など、各学校の問題を見て知った情報を整理します。

その上で、自分が勉強すべき範囲を洗い出します。
苦手範囲はどこで、どのレベルの問題まで解けるようになればいいかを確認してから勉強に取り組みます。
そうすると、先が見えない、受験勉強が終わらないといったことにもなりません。
学校別対策をしておくと、模試での偏差値より2〜3上の学校であれば合格することも可能です。

過去問を解いて点数を見て一喜一憂して終わったり、数年分の過去問だけを何周もするといった学習方法は正しくありません。
過去問を解くから学力が上がるのではなく、分析して対策をするから学力が上がるのです。