小6帰国受験生の英語学習

アメリカ在住のS君との出会いは今年の9月でした。
お父様の転勤で3年間アメリカに在住し、帰国生中学受験に英検2級が必要なので、私の英検対策レッスンを取ってくださいました。

多くの私立中の帰国受験の募集要項には、受験目安に「英検2級以上」という文字があり、世間的にも数年間英語圏にいたら2級ぐらい取れて当然だよねという空気がありますが、小学生にとってそこまで簡単ではありません。
リーディングでは、歴史や環境問題の説明文が出題されるので、日本語でも小学4、5年レベルの語彙力が必要です。

そして、この「当然英語できるよね」という先入観が留学経験者を苦しめるのです。(かつて、高校留学から帰国した私自身がそうでした。)

S君の場合、日本の中学校に通うと英語ができないというコンプレックスに苦しみ、アメリカの中学校に進学すると授業が理解できなくて苦しむ、という板挟み状態にならないかと心配していました。


この状況を中学生になる前に打開すべく、英検2級を超えて英語力を伸ばす学習が始まりました。

S君はアメリカで英語を学習しましたから、日本の中学校のように文法を学習ぶ機会がありませんでした。
アメリカでの学校の”国語”で扱ったかもしれませんが、文法を英語で学んで、完璧に理解するのは難しいです。
時制のルール、3人称単数現在形のsの付け方、現在分詞と過去分詞の使い方、という基本的なことを知らないので正しい英文を書けません。修飾語が分からないので、読むのも感覚に頼ることになり、浅い理解で終わります。

そこで、まず品詞と時制に対する理解を深めるべく、こちらの本に取り組んでいただきました。
「TOEIC L&R テスト 英文法 ゼロからスコアが稼げるドリル」

endangered species vs endangering species どちらが正解か。
「絶滅の危機にさら”されて”いる種なので、endangered speciesが正解」と理由をつけて説明することで、感覚で解答を選ぶことから抜け出せるようになりました。

ライティングと面接対策については、こちらで紹介した方法で正しい英文を作る練習をしました。
英検やTOEFLのスピーキングの学習方法
自分の言葉で原稿を書くことで、文法を考えながら英文を作ります。単語を調べることで表現力が増えます。

リーディングとリスニングは、一文ずつ、前から後ろに区切りながら訳することで、正確に意味を把握する練習をしました。
S君は現地の学校で大量に英文に触れているので速く読むことはできます。一方で、単語を拾うだけで、文章の内容理解ができていなかったので、意味を把握することを意識しました。そうすると、前の段落に何が書いてあったっけ?と忘れることが少なくなります。

宿題も相当な量を真面目にこなしてくれ、毎週英文を精読し、英作文を書いたので、4ヵ月でかなり英語力が伸びました。
10月(1次)、11月(2次)の英検で見事2級に合格しました。(S君の英検2級合格の記事はこちらです。)

その後も帰国受験のためレッスンを続け、先日ついに最後の授業を終えました。
保護者様から嬉しいコメントをいただきました。

どうやって英語を勉強したらいいか分からないと手をこまねいていた状況から、英語ができるようになった、勉強を続けたくなったとのこと。
英語力の伸びももちろんですが、英語の勉強の仕方が分かり、今後も自分で勉強を続けられそうだということが一番喜ばしいことです。

S君は算数と国語がとても得意で、経済にも興味があるので、大人になったら語学力を生かして面白いビジネスを展開してくれることでしょう。これからのご活躍をお祈りしております。

(追記)
その後、1月に志望校2校に合格したとの報告がありました。おめでとうございます!