中学生のNさんから以下のご相談をいただきました。
「英語の文法が苦手です。そして、やりたいとも思いません。単語や英会話をする意味はわかるのですが、現地では結構文法が守られていなかったりすることをよく聞きます。
大学受験での英語を突破するために文法をやっているのですが、何年も先の受験に対してモチベーションが出ません…。
基本的に楽しさを重視しており、楽しくないと完全にやらないタイプの人間なのですが、大学受験に役に立つ、以外で英語の文法が重要である理由はあるのでしょうか?
また、文法の楽しさがあれば教えてほしいです。」
Nさんは中学生ですでに英検2級を取得されています。同様のご質問、幼少期から英語を習われていた方や帰国子女の方からもよく伺います。今、通じているんだから文法学習する意味あるの?と感じますよね。
この相談に対する私の回答です。
少し長いのでまとめると、
① 英語を分かりやすく教えるための英文法になっているので、ネイティブの使う表現とかけ離れていることがある。
② 入試のための、参考書を網羅する形の文法学習は高3からでいい。
③ とは言え、文法学習はする必要がある。質の高い文献を読むため、文を正しく書くためには英文法の知識がいる。
④ 文法の楽しさは、文法や表現を通して英語圏の人の考え方を知ることができることがあると思う。
の4つになります。
「Nさんは文法が苦手であまり興味もないとのことですね。実は私もです…^^;
Nさんの言う通り、現地では文法が守られていない、というよりは日本の学校で習う英文法が「日本人に分かりやすく英語を教えるための英文法」になっているから違和感があるのだと思います。例えば、人に名前を聞くときは「May / Can I have your name?」と言って、「What’s your name?」と聞くことはほとんどありません。英語初心者に教えるには、May I have〜だと難しいですよね。
私自身、現地の学校で、日本で習った英文法を使った文章を書いて、何を言っているのか分からないと言われたこともあります。
ですので、入試のための参考書を網羅する形の文法学習は高3になるまではしなくていいのではないでしょうか。
ただ、文法がある程度分からないと、英語で作文を書くときに文が乱れます。さすがにNさんはないと思いますが、He play soccer. という文を書くとカッコ悪いですよね。日本語でも誤字・脱字が多いと、この人大丈夫かな?と思われてしまいますが、英語でも同様です。
また、経済情勢や技術の話など、難易度の高い内容を議論する際は、英文自体も複雑になるので、読んで理解するにも、書くにも話すにも文法の知識が必要です。(巷でよく言われる、こんな難しい英単語ネイティブも使わないよ、こんな文法滅多に見ないよ、は鵜呑みにしないでくださいね。学歴があり、きちんと仕事をしている大人は普通に使います。文学にも出てきます。)
おすすめの文法学習法としては、英文記事や長文を読みながら、知らない言い回しがあったら都度表現や文法を確認すること、エッセイを書いて添削を受けて正しい文法の使い方を知ることです。実際、分詞や現在完了は参考書で和文英訳を学習しても、自分が使いたい時になかなか出て来ません。英語を使いながら、こういう時にこの文法を使うものだと分かると思うのです。
例えば、先日のテストの正誤問題で、「Why don’t we order pizzas instead of eat out?」とありましたが、instead of eating outが正です。
前置詞の後は必ず名詞が来るんですね。なので、ofの後は動名詞eatingにする必要があります。このようなものは、エッセイ添削でコメントするので自然と文法を学ぶことができ、特に熱心に文法の勉強をしなくても学校のテストや入試問題で点数を取れるようになってきます。(それが理想のやり方ですよね。たくさんエッセイを書く必要はありますが。)
文法の楽しみ方という点では、文法や表現を通して英語圏の人の考え方を知ることができることでしょうか。
またまた例を挙げますが、英語ではよく「What you have to do is〜」という表現を使います。「あなたがしなければならないことは〜」という意味ですね。数学の問題を解くとき、部活で練習をするとき、様々な場面で英語話者は目的ありきで、目的を達成するためにまずこれをしなければならない、という認識です。
過程を重視することが多い日本と、結果を重視する英語圏の違いが現れていますね。
楽しくないことはやらない、当然のお話で、Nさんの感性は素晴らしいです。やらないといけないなら楽しみを見つけるんですよね。
少しでもお役に立てば幸いです。」